今まで焼入れ焼戻し、焼なまし、焼ならし等を詳しくご説明してきました。今までもご説明してきましたが、金属に熱処理を行うと、金属の内部の組織は変化します。変化するために、その性質が変化して硬くなったり粘り強くなったりするのです。今回は、熱処理を行う金属の組織についてお話していきます。
【フェライト】
純鉄に微量の炭素を固溶した「α-固溶体」のことです。α-鉄、地鉄と呼ばれることもあります。炭素は常温で0.00004%、723℃で00218%固溶しています。組織学上「フェライト」と呼ばれています。結晶構造は体心立方晶であり、軟らかく、加工性に優れた性質を持っています。常温から780℃までは強磁性体です。顕微鏡で確認すると、多角形状の集合体になっています。
【オーステナイト】
鋼材を900度以上の高温(オーステナイト化温度)まで加熱します。その温度では、添加した炭素や合金元素は鉄の中に均一に混ざり合います。結晶構造は面心立方晶であり、柔らかくて粘りがあり、錆に強く、非磁性体という性質を持っています。
【マルテンサイト】
オーステナイト化した鋼材を急冷することで、元のオーステナイトと同じ構造の細長い組織を得ることができます。これをマルテンサイト結晶と呼びます。体心正方晶または体心立方晶の隙間に炭素が閉じ込められているので、硬いのですが、もろくて不安定です。鋼の中で最も硬い組織です。
【セメンタイト】
鉄と、炭素6.69%の金属化合物です。金属的な光沢があります。硬くてもろく、常温では強磁性体です。